女管理人

翌月から私は西山ハイツに住みはじめた。引越しをした翌日、運び込んだダンボール箱の中身を開けて、新しい生活をはじめる準備をしていた。すると誰かが私の部屋の鉄製のドアをガンガンと大きな音を立てながらノックしているのが聞こえた。引っ越したばかりな...

西山ハイツ

そのアパートは不動産屋から歩いて10分ほどのとある商店街の中にあった。それはとても賑やかな通りで、レストランや洋服屋、小物屋、八百屋、喫茶店などいろんな店で埋め尽くされていた。アパートはその商店街を貫くメインストリートから少し入ったところに...

引っ越す

その後も何度か大学に行き、籍を戻してくれるよう頼み込んだのだが、退学の決定は覆えらなかった。大学に再び入るためには、一年以上たったのち、再入学試験を受けるしかなかった。 退学を知った父親の怒りはすさまじく、仕送りは止められて、再入学するまで...

退学になる

その電話は母親からだった。親とはたまに電話で話すことはあったのだが、その日の電話の母親の声はいつもと違って暗かった。私は心配になり「どうかした?」と聞くと、母親は「あんた知らないの」と言った。「何を」と私が聞くと、「あんた大学を退学になって...

居酒屋

そんなわけで私はその居酒屋で働き始めることになった。その居酒屋はウェイターの男が言った通り、実に忙しかった。夕方6時を過ぎた頃になると、仕事帰りの労働者たちがやってきた。7時ごろには店は一杯になった。客層は、ネクタイを締めたサラリーマンから...

旅から戻って

旅から戻って1週間後ぐらいに、再びダンス部のクラスメートに会った。「どうだった?」と彼が聞くものだから、一通り旅先で起こったことを彼に話してやった。上野駅で元やくざに話しかけられたこと。日本海や黒部ダムのこと。長野で美味しいそばを食べたこと...

傷心旅行

列車に乗ると、中は空いていて、自分の好きな席に座ることができた。窓際に座り外を見ると、男はまだベンチに座って一人で酒を飲んでいた。やがて列車は動き出し、上野駅を出た。 私は列車が駅を離れると、心の底からほっとした。なぜならその男は話を続ける...

上野駅

結局私と彼はその日ファミリーレストランに4時間ほどいた。駅で別れるときに、「また話を聞きに来てやるよ」と彼は言ってくれた。そんな彼の言葉はとてもありがたかった。なぜなら彼と話をして、随分気が楽になったから。 アパートに戻ると私は彼と話したこ...

ひきこもり

この一件があるまで、私は都会の孤独な生活に耐えながら、大学の講義にほとんど全て出席し、サークル活動にも励んでいたわけだが、この一件の後、まるで緊張の糸が切れてしまったかのように、あらゆることに関してやる気を失ってしまった。私は大学に行くのを...

12月

パーティの翌日、私は自分のアパートで前の晩にあったことを思い返してみた。前の晩は彼女に拒絶されたことがショックで、何も考えることができなかったのだが、次の日は冷静に前日に起こったことを考えてみた。公園で彼女が私に言ったこと、私に話しかけてい...